ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の育て方って?
この記事はこのような方にオススメ
- ミミカキグサ(ウトリクラリア)の育て方を知りたい
- 用土や植え替え方法を知りたい
- 管理方法を知りたい
日本では古来から生息している食虫植物のミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)ですが、
実はその見た目から食虫植物とは知らずに育てている方も少なくありません。
食虫植物と聞くと「虫を与えないといけないの?」と思うかもしれませんが、光合成と水のみで生長します。
数ある食虫植物の中でも栽培は特に難しくなく、初心者の方にもオススメの食虫植物です。
すでに購入し育てている方も、これから育てようと検討している方も、育て方や栽培環境の参考にして頂けると嬉しいです。
最後まで読んでね~
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)を育てる
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)は世界で最も広域に繁栄している食虫植物で、約250種以上が確認されていて、南極を除く全ての大陸にいます。
ウトリクラリアに属するタヌキモとミミカキグサは種のおよそ15%が水生、80%が陸生、残りは着生や岩生の植物です。
日本で分類されている呼び名と学名が混同していて非常にわかりずらいのですが、
主に、4つに分類されます。
・水生植物
・陸生植物
・着生植物
・岩生植物
このうち、日本でミミカキグサと呼ばれる陸生植物は属全体の80%ほどを占めます。
ここではミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の育て方を紹介していきます。
陸生植物とは
陸上に生活の本拠をもつ植物群の通称。
分類群としての正式の呼称ではない。バワーF.O.Bowerが1908年にいいだしたものと思われる。
有胚植物や茎葉植物とほぼ同じ内容をもつ言葉で,コケ植物と維管束植物が含められる。
なお生態学で水生植物に対する陸生植物terrestrial plantという用法もある。
(引用:コトバンク https://kotobank.jp/ )
他の食虫植物はほぼほぼ陸生植物なのですが、このウトリクラリアはかなり異なる存在です。
同じような捕虫嚢を持ちながらも、進化の過程で水生と陸生に分岐したのです。
一般では食虫植物や観葉植物として販売されていることが多く、反して水生植物のタヌキモ(水生ウトリクラリア)は水草として扱われることがほとんどです。
そのため、同じウトリクラリアといっても適正な環境や栽培方法が全く異なります。
実は根っこのない植物?
ウトリクラリアの特徴として根を持たない植物です。
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)は根っこのようなものを地中に生やしますが、実は根っこではなく地中茎と呼ばれる茎なのです。
そこに捕虫嚢を付け、地中で捕虫するのがミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の特性です。
室内で育てるメリット・デメリット
メリット
・日によっての天候や気温を気にする必要があまりない
・専用ライトを用いることで安定した光を供給できる
・害虫がつくことがほぼない
・インテリアとしても活用できる
デメリット
・水槽や温室の場合は費用がかかる
・室内のスペース確保が必要
・通気を保つのにファンなど追加費用がかかる
戸外で育てるメリット・デメリット
メリット
・春から秋にかけて自然光の日照は大きく生長を促すことができる
・費用がほとんどかからない
・庭やベランダがオシャレな雰囲気になる
デメリット
・スペース確保が必要
・害虫がつく可能性がある
・屋根がない場合は天候によっては避難させる必要がある
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の日当たり・飼育場所
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)は暖かく日の当たる場所を好みますが、真夏の直射日光には強くありません。
季節によって適切な日当たりの環境を作ることで、すくすく育ちます。
ただし、水槽などで専用ライトを使用する場合は適切なライトを選べば特に気にする必要はありません。
春、秋
気温が15度から20度後半の春、秋は直射日光に当てても問題ありません。
飼育方法によってですが、存分に陽の光りが当たるようにしましょう。
夏
30度を超える真夏は直射日光が直接当たる環境は避けます。
間接的に光が当たるようにするかスダレなどで陰を作ると良いでしょう。
冬
低温に弱い種が多いため、冬は戸外であっても陽の光が弱く、生長が止まる種が多いです。
気温が下がってきたら室内に移し、植物用のライトなどを当てるか、日差しの入る窓越しが適しています。
気温が5度以下いなると弱ってしまう可能性が高いです。
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の水やり
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の生命線である水やりは日光と同じくらい重要です。
湿地帯に生息する種が多いため、湿った環境をいかに作りだしてあげるかが大事です。
水が常にある状態での栽培を心がけてください。
浅めの受け皿に水を1〜3cmほど入れてその上に鉢を置く、「腰水栽培」がオススメです。
季節によって水やりの頻度が変わってきます。
春、秋
春や秋はカラっとした日が多いです。
用土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えましょう。
その日によって湿度や気温は変わりますが、一日一回以上を目安にすると良いです。
夏
真夏は湿度は高いですが、気温も高くなり水が蒸発しやすくもなります。
栽培方法にもよりますが、戸外で育てている栽培家は3時間おきに水をあげる方もいるようです。
日中に高頻度で水をあげるのは中々難しいですが、一日に2、3回は水を与えるのが望ましいです。
冬
冬は乾燥した日が多いため、水やりを頻繁にする方もいるようですが、あまり与えすぎるのは禁物です。
気温も低いため、水を与えすぎると腐ってしまうことがあるのです。
用土が乾いたタイミングで水を与えるようにし、霧吹きなどで葉水を行い湿度を保ちましょう。
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の用土
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)は保水性と通気性に優れた用土を用います。
本来、食虫植物というのは肥えた土壌ではなく、栄養素の少ない場所で進化してきた植物です。
通常の植物のように根からの養分には期待せず、陽の光と水分で光合成をし、不足分を補うために進化の過程で捕食器官ができるようになったのです。
なので、ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)を元気に育てるポイントは養分がほとんどない用土で育てることです。
ミズゴケ
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の栽培において、最も一般的な用土が水苔です。
非常に扱いやすく元気に育ち、失敗が少ないと言われています。
初めて栽培される方は水苔を使用するのがオススメです。
鹿沼土
観葉植物によく用いられる鹿沼土は、保水性が良いのが特徴です。
また、植え替え時に用土と地中茎が張り付きにくく、古い土を落としやすいため、与えるダメージが少ない点もメリットです。
ピートモス
水苔などの蘇苔類、ヨシ、スゲ、ヌマガヤなどの植物が堆積し、腐植化した泥炭を脱水し細かくした用土です。
園芸用にもよく用いられており、ホームセンターなどで販売されているミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)にはよく使われていたりもします。
保水性に優れているので、決して悪いわけではないのですが根腐れ(地中茎腐れ)するという声をよく耳にするので、あまりオススメしません。
肥料
栽培家によって肥料を与えるかどうかは賛否が分かれるのですが、
水苔や鹿沼土でミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)は十分に育つので不要です。
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の植え替え
用土の状態を清潔に保つためには植え替えが必要です。
新しい用土にすると、今まで以上にスクスクと育ってくれるようになります。
水苔などの有機質の用土は1年、鹿沼土などの用土は2、3年に一度植え替えするのが良いです。
適切な時期
気温が低く大きく生長する前の2月から4月が植え替えに向いている時期です。
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)が最も生長するのが夏なので、植え替えで少し痛めてしまっても、
大きな問題にはなりにくいです。
状態が悪く、どうしても植え替えをしたい場合でも真夏は避けるのが賢明です。
方法
植え替え自体は他の観葉植物と同様の手順で行います。
・移しかえる容器を準備する
・水苔の場合は事前に水を差し、フカフカの状態にする
・ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)本体を地中茎を傷つけないように底から持ち上げる
・古い水苔を取り除く
・腐っている地中茎の部分をハサミで切り取る
・新しい水苔で地中茎を包み、容器に入れる
気を付けること
古い用土を覗く際は細心の注意を払いましょう。
乾燥に弱いので、植え替えの際には長時間放置することがないようにスムーズに行ってください。
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の温度・湿度管理
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)は種によって差がありますが、夏の猛暑にも、冬の寒波にも耐えれる種はあまりありません。
そのため、気温が高すぎる日や寒すぎる日は室内に移動するなどは必要です。
夏に気をつけること
猛暑で35度を超える気温の日は葉が焼けたり、弱ってしまう場合があります。
猛暑かつ無風の日は非常に危険です。
暑すぎる日は少し涼しい環境に移してあげましょう。
また水の蒸発も早いので、腰水栽培でも気づいたらあっという間になくなってしまっている場合もあります。
一日に一回は水やりの際に注意深く確認して、なくなっていたら水を足してあげる必要があります。
冬に気をつけること
冬の寒さには非常に強いですが、氷点下に下がらない環境下で管理してあげましょう。
雪が降ったり、明け方に路面凍結するような地域の場合は戸外に置いたままにしておくと凍結して枯死してしまう可能性があります。
その場合は室内で管理できる所などに移してあげてください。
通気
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)を育てる上でもう一つ大事なのが、通気です。
空気が停滞しやすい水槽などは特に注意が必要で、完全な密封空間にはならないようにし、
気温が上がる夏場などはムシトリスミレ(ピンギキュラ)には直接風が当たらないように気をつけながらファンなどを設置しましょう。
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の増やし方
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)は株分けで増やすことができます。
株分けに適した時期
2月から5月が向いている時期です。
特に夏から秋は極力避けるようにします。
株分けの方法
株分けをする場合は葉の付け根部分にある根茎を切り取ります。
とにかくスピード勝負になるので切り取った挿し穂はすぐに水につけることが大事です。
①葉の付け根部分にある根茎を斜めに切る
②葉を半分に切る
③バケツなどに水を入れ、挿し穂を水につける
④鉢を用意し水苔で挿し穂を植える
何よりも切り取った部分を乾燥させないことが成功の秘訣です
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ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)のオススメ育成方法
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)がすくすく育つ環境を作るためには余計なストレスを与えないことが大事です。
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の代表的な育て方は2つあります。
・鉢で育てる
・水槽で育てる
予算や自宅の環境によって適切な栽培方法を選びましょう。
鉢で育てる
鉢で育てるのが一般的な飼育方法。
鉢や用土を揃える他にはほとんどお金がかからないので、最もコスパが良いです。
鉢の置く場所
春から秋にかけては戸外で日の当たりやすい環境に置きます。
真夏の炎天下の直射日光では逆に弱ってしまう場合もあるため、その際は間接的に日が当たる場所などに移しましょう。
冬は戸外で日の当たる場所かつ、気温の低い環境が望ましいです。
水やり
オススメは受け皿を用意し、1〜3cmの水を入れた上に鉢をおく「腰水栽培」です。
春から秋にかけての水やりは鉢土を乾かさないように頻繁にあげます。
冬は気温が低いため、頻繁に水やりはせず、土が乾いたら水やりをする程度にしてください。
用土
水苔のみがオススメです。
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)は元々栄養の少ない土地で生息しているため、肥料の入った土だと逆に元気をなくしてしまう可能性があります。
害虫・病気
戸外で育てていると、灰色かび病になることがあります。
高温多湿な環境では特に気を付けてください。
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)を育ててみよう
ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)の育て方からおすすめの育成方法までご紹介してきました。
虫を捕まえる独特な見た目と構造は一度ハマると、とても愛着のわく植物だと思います。
可愛いお花を咲かせるミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)は人気の食虫植物です。
ぜひ栽培に挑戦してみてください。
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