食虫植物の進化

【食虫植物の進化⑨】吸い込み式食虫植物の進化と分類【ネぺ吉の夏休み自由研究シリーズ】

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【食虫植物の進化⑨】吸い込み式食虫植物の進化と分類【ネぺ吉の夏休み自由研究シリーズ】

吸い込み式食虫植物の進化と分類とは?食虫植物の進化を紐解く⑨

夏休みの自由研究のテーマに「食虫植物」はどうですか?

特異な進化を続ける食虫植物の進化を紐解く研究シリーズです。

大人も子供も楽しめるように、

なるべく文章をわかりやすく書くことを心掛けて書いています。

研究系の内容は小難しい文章や単語が多いですからね、、。

※本内容を転載する際は、「引用:ネぺ吉のブログ(https://nepenthes.jp)」と記載お願いします。

前回の内容はコチラ
【食虫植物の進化⑧】粘り付け式食虫植物の進化と分類【ネぺ吉の夏休み自由研究シリーズ】

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研究シリーズのまとめはコチラ
【食虫植物の進化:まとめ】食虫植物の進化を知る【ネぺ吉の夏休み自由研究シリーズ】

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吸い込み式食虫植物の進化と分類

吸い込み式食虫植物は、

水中に浮かぶ微小な生物を吸い込み、消化する特殊な器官を持つ食虫植物です。

吸い込み式食虫植物の分類

吸い込み式食虫植物は、

南極を除く世界中の湖や沼、湿地に生息していて、

ウトリクラリア科のミミカキグサ属、タヌキモ属が該当します。

ミミカキグサは、

陸上のウトリクラリア科のことを指します。

日本の本州や中国、マレーシア、オーストラリアなどが生息域です。

関連ページ
【食虫植物ミミカキグサ(陸生ウトリクラリア)育て方】水やり、管理方法って?用土や植え替えの時期

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タヌキモは世界中に分布していて、

アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリアなどが生息域です。

日本では水草として親しまれています。

関連ページ
【食虫植物タヌキモ(水生ウトリクラリア)育て方】管理方法って?準備するものやオススメの栽培方法

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吸い込み式食虫植物の機能と進化

吸い込み式食虫植物は、

葉の形態が特殊な「捕虫嚢(ほちゅうのう)」と呼ばれる器官を持っていて、

虫が踏み込むと真空状態になり、強力な負圧で虫を吸い込むことができます。

ミミカキグサであれば、通常の植物の根にあたる地下部分、

タヌキモは水中に接している部分が捕虫嚢になっています。

 

捕虫嚢は、吸い込み式食虫植物の進化の結果であり、

葉を閉じて虫を捕らえる方法と比べて、

より高い効率で虫を捕食できるようになりました。

また、捕虫嚢内には消化酵素が分泌され、虫の栄養分を吸収することができます。

吸い込み式捕虫嚢の仕組みと驚くべき特徴

捕虫嚢は微小な突起物からなる「扉」という構造を持っており

、周囲の水や空気との圧力差を利用して、瞬時に開閉することができます。

水中に浮かぶ微小な生物が捕虫嚢の「扉」に触れると、扉は瞬時に開いて水と一緒に虫を吸い込みます。

この吸い込み力は、水分子の表面張力や捕虫嚢内の真空状態によって生み出されます。

また、ウトリクラリアの一部種では、特殊な毛状突起物を持つことで、虫をより確実に捕獲しています。

吸い込み式捕虫器は、捕虫嚢のサイズや形状、捕虫嚢内の液体の種類などが種によって異なるため、分類学上の特徴となっています。

また、吸い込み式捕虫器は、脊椎動物による食害や乾燥地帯における水分補給の難しさなど、

厳しい環境下での生存に適応するために進化してきたものとされています。

吸い込み式食虫植物の進化史

吸い込み式食虫植物は、

約1億年以上前の古代の地層から化石が発見されています。

ウトリクラリアの進化の歴史

元々はタヌキモに属する水中植物でした。

約2億5000万年前頃は水中に特化した生態系となっており、

陸上生活は不可能でした。

そこで、捕虫嚢に変化が起き、陸上生活ができるようになり、

ミミカキグサが出現したのです。

1億3千万年前: ウトリクラリア科の吸い込み式水中食虫植物が誕生。

8,000万年前: ウトリクラリア科が陸上に進出し、タヌキモ属とミミカキグサ属が分岐。

3,000万年前: タヌキモ属が東南アジアに拡散。

約100万年前: ウトリクラリア属がオーストラリアに拡散。

吸い込み式食虫植物の適応力

食虫植物の中でも、

環境への適応能力の高さが注目されているのが、

吸い込み式食虫植物のウトリクラリア科です。

他の食虫植物同様に、

栄養の少ない湖や沼などにおいて、

過不足を補うために、昆虫や小動物を取り込んで消化するようになりました。

特にタヌキモ属で環境適応の強い種は、

特定外来生物に指定されるほどの環境適応力を持っています。

栽培や鑑賞目的で購入した外来種を、

何も考えずに近くの川や湖などに放流してしまうと、

地域の生態系を一変させてしまう可能性もあるのです。

環境への関心が高まる現代において、僕ら人間の環境への配慮とモラルが一層必要になってきています。

吸い込み式食虫植物の進化と分類

シリーズ第九弾は吸い込み式食虫植物をテーマにしてみました。

どのように進化してきたのか、いかがでしたか?

 

 

本シリーズは全10記事にて作成しています。

ぜひこの機会に食虫植物の進化の過程を知ることで、

知らなかったことを知れたり、

改めての魅力に気づいたりするキッカケになったらうれしいです。

続きはコチラ
【食虫植物の進化⑤】昆虫誘引に関わる香気化合物の進化【ネぺ吉の夏休み自由研究シリーズ】

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研究シリーズのまとめはコチラ
【食虫植物の進化:まとめ】食虫植物の進化を知る【ネぺ吉の夏休み自由研究シリーズ】

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  • この記事を書いた人

ネペ吉

ネペンテス(ウツボカズラ)にハマった食虫植物。 仕事はセレクトショップにて8年経験ののちWEB業界に転職した。 柴犬を飼って、自然に囲まれた場所で生活をすることが夢。

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