ハエトリグサ(ハエトリソウ)の育て方って?
この記事はこのような方にオススメ
- ハエトリグサ(ハエトリソウ)の育て方を知りたい
- 用土や植え替え方法を知りたい
- 管理方法を知りたい
ハエトリグサ(ハエトリソウ)は、よく春先になって枯れてしまったというのをよく耳にするのですが、
しっかりと基本を抑えて育てれば難しくはありません。
元々の生息環境が日本の環境と非常に近いため、食虫植物の中でも特に育てやすいです。
特別な温度管理の器材などを必要としないことも栽培ハードルが低い要因の1つです。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)含む食虫植物は虫を食べて生長すると誤解されがちですが、光合成と水のみで生長します。
すでに購入し育てている方も、これから育てようと検討している方も、育て方や栽培環境の参考にして頂けると嬉しいです。
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ハエトリグサ(ハエトリソウ)を育てる
ハエトリグサ(ハエトリソウ)と言っても、葉っぱが上を向く「エクレタ型」と、
一輪の花のような葉を付ける「ロゼット型」では見た目が結構違います。
ただし、どの種も原種となっているマスシプラ・オールドタイプから人工交配されてきた種なので、
基本的な育て方は変わりません。
暑さにはあまり強くないので、夏場は風通しがよい涼しい場所が適切です。
冬の寒さには非常に強いので、凍結しない限りは問題なく越冬します。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の分類
ハエトリグサ(ハエトリソウ)は
ウツボカズラ目モウセンゴケ科ハエトリグサ属の食虫植物です。
分類 | 被子植物 | angiosperms |
真正双子葉類 | eudicots | |
コア真正双子葉類 | core eudicots | |
目 | ウツボカズラ目 | Nepenthales |
科 | モウセンゴケ科 | Droseraceae |
属 | ハエトリグサ属 | Dionaea |
ハエトリグサ(ハエトリソウ)というと、元来は1属1種のため、マスシプラ・オールドタイプのことを指すのですが、
近年はその独特な見た目から、人工交配も進み様々な品種が誕生しています。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の特徴・生息域
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の特徴、生息域です。
園芸分類 | 観葉植物、食虫植物 |
園芸分類 | 多年草 |
草丈 | 5cm〜10cm |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 弱め |
アメリカ合衆国南東部のノースカロライナ州、サウスカロライナ州などの東海岸の湿地に生息しています。
この限られた地域のみに生息しているのがハエトリグサ(ハエトリソウ)の特徴でもあります。
食虫植物の中では、多様性に富んだ種と限られた地域のみでごく少数のみで存続している種に分かれます。
ネペンテス(ウツボカズラ)、ドロセラ(モウセンゴケ)、ウトリクラリア(タヌキモ/ミミカキグサ)は地域は異なれど、
広分布かつ各150種以上がいます。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)やセファロタス(フクロユキノシタ)はアメリカとオーストラリアという限られた地域のみで、
どちらも原種は1属1種しかいません。
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室内で育てるメリット・デメリット
・日によっての天候や気温を気にする必要があまりない
・専用ライトを用いることで安定した光を供給できる
・害虫がつくことがほぼない
・インテリアとしても活用できる
・水槽に費用がかかる
・室内のスペース確保が必要
・通気を保つのにファンなど追加費用がかかる
・冬の休眠時に暖房のない部屋に移動する必要がある
戸外で育てるメリット・デメリット
・春から秋にかけて自然光の日照は大きく生長を促すことができる
・費用がほとんどかからない
・庭やベランダがオシャレな雰囲気になる
・冬の休眠に手間がかからない
・スペース確保が必要
・害虫がつく可能性がある
・屋根がない場合は天候によっては避難させる必要がある
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の日当たり・飼育場所
ハエトリグサ(ハエトリソウ)は暖かく日の当たる場所を好みますが、直射日光には強くありません。
季節によって適切な日当たりの環境を作ることで、生長を促すことができます。
ただし、水槽などで専用ライトを使用する場合は適切なライトを選べば特に気にする必要はありません。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の日当たり 春、秋
気温が15度から20度後半の春、秋は直射日光に当てても問題ありません。
飼育方法によってですが、存分に陽の光りが当たるようにしましょう。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の日当たり 夏
暑さにはあまり強くないため、風通しの良い場所に移つし、30度を超える真夏は直射日光が直接当たる環境は避けます。
間接的に光が当たるようにするかスダレなどで陰を作ると良いでしょう。
水槽での栽培の際はゲージ内の温度が高くなりすぎないように気をつけてください。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の日当たり 冬
冬は休眠期になります。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)は一年に一度この休眠期がないと、春先に枯れてしまうケースが多々あります。
寒い場所に移すのは気が引けるかもしれませんが、戸外もしくは暖房を入れずに1日を通して室温の低い場所で管理しましょう。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の水やり
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の生命線である水やりは日光と同じくらい重要です。
生息しているのはアメリカ合衆国南東部のノースカロライナ州、サウスカロライナ州などの東海岸の湿地帯です。
一年を通して水分をしっかり含んだ、湿った用土で育てることがポイントです。
浅めの受け皿に水を1〜3cmほど入れてその上に鉢を置く、「腰水栽培」がオススメです。 季節によって水やりの頻度が変わってきます
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の水やり 春、秋
春や秋はカラっとした日が多いです。
用土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えましょう。
その日によって湿度や気温は変わりますが、一日一回以上を目安にすると良いです。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の水やり 夏
真夏は湿度は高いですが、気温も高くなり水が蒸発しやすくもなります。
栽培方法にもよりますが、戸外で育てている栽培家は3時間おきに水をあげる方もいるようです。
日中に高頻度で水をあげるのは中々難しいですが、一日に2、3回は水を与えるのが望ましいです。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の水やり 冬
冬は乾燥した日が多いため、水やりを頻繁にする方もいるようですが、それはあまりオススメしません。
気温が低く、休眠期なため、水を与えすぎると根が腐ってしまうこともあります。
定期的に腰水を換え、週に1・2回ほどの水やりで十分です。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の用土
ハエトリグサ(ハエトリソウ)は他の観葉植物などと比較すると、用土に肥料は必要ありません。
それもそのはず、食虫植物は肥えた土壌ではなく、栄養素の少ない所で生きています。
通常の植物のように根からの養分には期待せず、陽の光と水分で光合成をし、
不足分を補うために進化の過程で捕食袋ができるようになったのです。
そのため、ハエトリグサ(ハエトリソウ)を元気に生育させるポイントは養分がほとんどない用土で育てることです。
ミズゴケ
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の栽培において、最も一般的な用土が水苔です。
非常に扱いやすく元気に育ち、失敗が少ないと言われています。
初めて栽培される方は水苔を使用するのがオススメです。
鹿沼土
観葉植物によく用いられる鹿沼土は、保水性が良いのが特徴です。
また、植え替え時に用土と根が張り付きにくく、古い土を落としやすいため、 根に与えるダメージが少ない点もメリットです。
ピートモス
水苔などの蘇苔類、ヨシ、スゲ、ヌマガヤなどの植物が堆積し、腐植化した泥炭を脱水し細かくした用土です。
園芸用にもよく用いられており、ホームセンターなどで販売されているハエトリグサ(ハエトリソウ)にはよく使われていたりもします。
保水性に優れているので、決して悪いわけではないのですが根腐れするという声をよく耳にするので、中級者向けの用土です。
肥料
栽培家によって肥料を与えるかどうかは賛否が分かれるのですが、
水苔や鹿沼土でハエトリグサ(ハエトリソウ)は十分に育つので不要です。
それでも他の植物を育てている方にとっては肥料は与えるのが当たり前という感覚の方もいます。
もし肥料を与えるのであれば生長が活発になる5月から8月くらいにかけて、
暖効性化成肥料を月1回程度か、液体肥料を1週間に一度程度与えてみるといいです。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の植え替え
用土の状態を清潔に保つためには植え替えが必要です。
新しい用土にすると、今まで以上にスクスクと育ってくれるようになります。
水苔などの有機質の用土は毎年、鹿沼土などの用土は2、3年に一度植え替えするのが良いです。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の植え替えに適切な時期
冬の休眠期に差し掛かる、12月から2月が植え替えに向いている時期です。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)が休んでいる時期なので、多少植え替えで根を痛めてしまっても、大きな問題にはなりにくいです。
状態が悪く、どうしても植え替えをしたい場合でも極力夏から秋は避けるのが賢明です。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の植え替え方法
植え替え自体は他の観葉植物と同様の手順で行います。
・水苔の場合は事前に水を差し、フカフカの状態にする
・ハエトリグサ(ハエトリソウ)本体を根を傷つけないように底から持ち上げる
・古い水苔を取り除く
・腐っている根の部分(黒ずんでしおれている)をハサミで切り取る
・新しい水苔で根を包み、容器に入れる
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の植え替えで気を付けること
根はあまり強くないため、古い用土を覗く際は細心の注意を払いましょう。
乾燥に弱いので、植え替えの際には長時間放置することがないようにスムーズに行ってください。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の温度・湿度管理
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の生息環境は湿地帯です。
アメリカ合衆国南東部のノースカロライナ州、サウスカロライナ州などの東海岸の湿地は日本と非常に環境が近いと言われています。
四季があり、夏は暑く、冬は寒い環境です。 そのため、特別な環境を用意する必要はありません。
強いていうなら夏の猛暑と真冬の寒波時のみ気をつけることです。
夏に気をつけること
猛暑で35度を超える気温の日は葉が焼けたり、弱ってしまう場合があります。
猛暑かつ無風の日は非常に危険です。 暑すぎる日は少し涼しい環境に移してあげましょう。
また水の蒸発も早いので、腰水栽培でも気づいたらあっという間になくなってしまっている場合もあります。
一日に一回は水やりの際に注意深くかくにんして、なくなっていたら水を足してあげる必要があります。
冬に気をつけること
室内で栽培している場合、休眠できる環境に移してあげる必要があります。
一年に一度、この休眠期間を作ってあげないとハエトリグサ(ハエトリソウ)は枯れてしまいます。
冬の寒さには非常に強いので、氷点下に下がらない環境下で管理してあげましょう。
ただし、雪が降ったり、明け方に路面凍結するような地域の場合は戸外に置いたままにしておくと凍結して枯死してしまう可能性があります。
その場合は室内で管理できる所などに移してあげてください。
通気
ハエトリグサ(ハエトリソウ)を育てる上でもう一つ大事なのが、通気です。
空気が停滞しやすい水槽などは特に注意が必要で、完全な密封空間にはならないようにし、
気温が上がる夏場などはハエトリグサ(ハエトリソウ)には直接風が当たらないように気をつけながらファンなどを設置しましょう。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の増やし方
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の増やし方は主に2つあります。
・種まき
株分けや種まきで増やすことができます。
株分けにオススメのタイミング
親株が以下のような状態になった時に対応するのがオススメです。
・生長スピードが落ちた
・新しい葉がつかない
鉢のサイズが合っていない場合は植え替えで対処できますが、
それでも改善しなかったり、例年と様子が違う場合は株分けを検討して見るのも手です。
株分けに適した時期
気温が下がり休眠期間の12月から2月が向いている時期です。
特に夏から秋は極力避けるようにします。
株分けの方法
株分けをする場合は先端の葉から3〜4枚の部分で切り取ります。
とにかくスピード勝負になるので切り取った挿し穂はすぐに水につけることが大事です。
②葉を半分に切る
③バケツなどに水を入れ、挿し穂を水につける
④鉢を用意し水苔で挿し穂を植える
何よりも切り取った部分を乾燥させないことが成功の秘訣です。
種まきの方法
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の開花時期は5月〜7月です。
花を咲かせ、その花が枯れると小さな種をつけます。
種がない場合はネットなどで購入することもできます。
種まきの適切な時期は2月〜4月ごろです。
②用土と鉢を用意する
③種をまく
冷蔵庫に入れることにより、発芽のタイミングが揃います。
また、休眠期を越したことをハエトリグサ(ハエトリソウ)の種が把握できることもメリットです。
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ハエトリグサ(ハエトリソウ)のオススメ育成方法
湿地帯に生息しているハエトリグサ(ハエトリソウ)がすくすく育つ環境を作るための 代表的な育て方を2つ紹介します。
①鉢で育てる
②水槽で育てる
予算や自宅の環境によって適切な栽培方法を選びましょう。
飼育方法①鉢で育てる
鉢で育てるのが一般的な飼育方法。
鉢や用土を揃える他にはほとんどお金がかからないので、最もコスパが良いです。
鉢の置く場所
春から秋にかけては戸外で日の当たりやすい環境に置きます。
真夏の炎天下の直射日光では逆に弱ってしまう場合もあるため、その際は間接的に日が当たる場所などに移しましょう。
冬は戸外で日の当たる場所かつ、気温の低い環境が望ましいです。
水やり
オススメは受け皿を用意し、1〜3cmの水を入れた上に鉢をおく「腰水栽培」です。
春から秋にかけての水やりは鉢土を乾かさないように頻繁にあげます。
冬は気温が低いため、頻繁に水やりはせず、土が乾いたら水やりをする程度にしてください。
用土
水苔のみがオススメです。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)は元々栄養の少ない土地で生息しているため、
肥料の入った土だと、捕虫葉をつけなくなってしまう場合もあります。
害虫・病気
春から秋はアブラムシやカイガラムシが付くことがよくあります。
特にアブラムシは新しく生えてきた葉につくため、生長を阻害しかねません。
また、斑点病にも気をつける必要があります。
植え替えのタイミング
株が大きくなってきたら、一年の中でも休眠期の12月から2月がオススメです。
もともとハエトリグサ(ハエトリソウ)は根があまり強くないため、傷つけないように注意しながら、
土などを取り除き、 根が常に乾燥しないようにしながら作業をしましょう。
飼育方法②水槽で育てる
インテリアとしても楽しめる飼育方法。
水槽の中で育てるため、湿度や光調の管理が楽です。
テラリウムやアクアテラリウムとして上手く作ることができれば、オシャレなインテリアにもなり、近年は人気が急上昇中です。
必要な設備を整えるまで少し費用はかかります。
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水槽の大きさ
ハエトリグサ(ハエトリソウ)は種によって異なりますが、
ネペンテス(ウツボカズラ)やサラセニア(ヘイシソウ)のようなスペースは必要ありません。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)のみを栽培するのであれば20cmから45cm程度の水槽で十分です。
時折、食虫植物の様々な種を同じ水槽で栽培しているテラリウムを見かけるのですが、初心者の方にはオススメできません。
十中八九どの種かが枯れることになるので、初めて栽培する場合は一種のみの栽培にしましょう。
水槽の置く場所
主に人口ライトによって光合成を促すことになるため、日の当たらない場所でも問題ありません。
テラリウムにする場合は用土などを入れるため、かなりの重量になります。安定感のある台に設置するのが望ましいです。
水やり
湿度計を見ながら、週に一回程度の水やりをして下さい。 湿度が高いため、カビには要注意。
植物専用のカビを抑えるスプレーがあると良いです。
用土・土台
鉢と同様に水苔のみがオススメです。
根を水苔で包み、土台の上に設置します。
害虫・病気
室内の水槽であれば、害虫はほぼつくことはありません。
カビによって根が傷んだりしないように気をつけましょう。
リセットのタイミング
鉢と同様に12月から2月が良いです。
水槽を洗浄したり、新しくテラリウムを作る際は特に根が乾かないように注意を払います。
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冬場の移動
忘れてはならないのがハエトリグサ(ハエトリソウ)は休眠期を必須とする食虫植物です。
11月末から12月になったら、戸外もしくは室内の暖房の効かない部屋に移して休眠期間を作ってあげてください。
この休眠期間を作らなければほとんどの場合、春先に弱り、やがて枯死してしまいます。
移動も考えてあまり大きな水槽にしないほうが良いかもしれませんね。
ハエトリグサ(ハエトリソウ)を育ててみよう
ハエトリグサ(ハエトリソウ)の育て方からおすすめの育成方法までご紹介してきました。
虫を捕まえる独特な見た目と構造は一度ハマると、とても愛着のわく植物だと思います。
栽培は難しそうな印象があるかもしれないですが、食虫植物の中では日本で最も栽培しやすい種の一つと言われています。 ネ
ペンテス(ウツボカズラ)やサラセニア(ヘイシソウ)、セファロタス(フクロユキノシタ)などと比較すると圧倒的に育てやすいです。
お子さんの自由研究の一環で購入したり、初めて食虫植物を育てるという方にもハエトリグサ(ハエトリソウ)はオススメです。
まるで動物かのような動きをするハエトリグサ(ハエトリソウ)は本当に植物なのか分からなくなってきます。
ぜひこの機会に育ててみてはいかがですか。
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