ムシトリスミレ(ピンギキュラ)はタヌキモ科ムシトリスミレ属の食虫植物!
この記事はこのような方にオススメ
- ムシトリスミレ(ピンギキュラ)にどんな種類があるのか知りたい
- 特徴を知りたい
- 栽培しやすい種を知りたい
ムシトリスミレ(ピンギキュラ)は固有種のピンギキュラ・ブルガリスを指すことが多いのですが、世界には80種以上が発見されています。
北半球の温帯から寒帯、南アメリカ、南極に生息していて、日本でも2種が確認されています。
湿原や湿気の多い岩地などが生息場所であることから、栽培するのが難しい種もあり、事前にどのような種がいるのか把握することをおススメします。
このページでは初心者でも栽培しやすい食虫植物のムシトリスミレ(ピンギキュラ)の定番種や人気の種などを紹介していきます。
ムシトリスミレ(ピンギキュラ)は3つの分類に分けられる
ひとえに食虫植物といっても数多くの種が世界中に生息しています。
食虫植物の共通点として枯渇した土壌で独自に進化してきているのですが、
例えばネペンテス(ウツボカズラ)は東南アジアの熱帯地域、サラセニア(ヘイシソウ)はアメリカ南部や東部、セファロタス(フクロユキノシタ)はオーストラリアの限られた地域のみに生息している、など環境は様々です。
栽培する上で最も大事なのが生息している種の環境にいかに近づけられるかというのがポイントになるのですが、
ムシトリスミレ(ピンギキュラ)は生息域が広いため、主に3つの分類に分けられます。
・寒地性
・暖地性
・熱帯高山性
日本に現存する2種は「寒地性」に含まれるため、他の食虫植物のように在来種だから育てやすいというわけではありません。
国内で流通している人気の種のほとんどは「暖地性」「熱帯高山性」に分類されます。
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定番種から、人気種まで形はさまざま
元々広域に分布しているムシトリスミレ(ピンギキュラ)なだけあって、
見た目も雰囲気も全く異なるような種が多く存在します。
スタンダードなムシトリスミレ(ピンギキュラ)といえば、モラネンシスやレクティフォリアのような丸く厚みのある葉と紫系の花を想像できるでしょう。
プリムリフローラや交配種`アフロディーテ’など葉先が細長い種も実は数多くいたりします。
住む環境によって同じ属性であっても全く異なる植物に見えるのは不思議ですよね。
ここでは「寒地性」「暖地性」「熱帯高山性」そして「交配種」に分けて人気種をいくつか紹介していきます。
色々な種類を知り、好みの種を探すのも楽しいですよ。
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寒地性のムシトリスミレ(ピンギキュラ)
主な生息域としては日本、ヨーロッパ、北アメリカ北部のムシトリスミレ(ピンギキュラ)が「寒地性」に分類されます。
育成難易度が高めで上級者向けになります。
ピンギキュラ・ブルガリス(和名:ムシトリスミレ) Pinguicula.vulgaris
北海道から四国にかけての高山の岩などに生息しています。
和名はムシトリスミレと名付けられており、ピンギキュラの中でもブルガリスを指すことが多いようです。
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ピンギキュラ・ラモサ(和名:コウシンソウ) Pinguicula.ramosa
三好学という方に栃木県で発見され、コウシンソウと命名されました。
標高1200m~2200mの垂直の崖で寒冷多湿の環境に生息しています。
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暖地性のムシトリスミレ(アメリカン・ピンギキュラ)
続いて、暖地性ムシトリスミレ(アメリカン・ピンギキュラ)を紹介していきます。
アメリカン・ピンキギュラとも言われ、地に根を張って育つ地性種とも分類されます。
実店舗で販売されている多くは暖地性ムシトリスミレ(アメリカン・ピンギキュラ)が多く、比較的育てやすく、初心者の方にもオススメです。
ピンギキュラ・プリムリフローラ Pinguicula.primuliflora
最もポピュラーなムシトリスミレ(ピンギキュラ)です。
ホームセンターなど実店舗で数多く販売されています。ムシトリスミレ(ピンギキュラ)というとプリムリフフローラを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
「プリムリフロラ」「プリムフロラ」と表記されていることもあります。
プリムラ(別名サクラソウ)のような花を咲かせることから名づけられました。
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ピンギキュラ・ルテア(和名:キバナムシトリスミレ) Pinguicula.lutea
ムシトリスミレ(ピンギキュラ)では珍しい、
明るい黄色の花を咲かせる種。
アメリカのサバンナや砂浜近くの沼地に生息しています。
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ピンギキュラ・プラニフォリア Pinguicula.planifolia
アメリカのフロリダ州に生息している種で、
赤みがかった葉と花びらの中央に切れ目が入るのが特徴です。
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熱帯高山性のムシトリスミレ(メキシカン・ピンギキュラ)
メキシコ山岳部の切り立った石灰岩の絶壁や樹木に付着して育つ着生種として、メキシカン・ピンギキュラとも呼ばれている種です。
暖地性ムシトリスミレ(アメリカン・ピンギキュラ)と比較すると、水を多くは必要とせず、霧吹きなどで適度な水分を与えるほどで育ちます。
こちらも初心者にオススメです。
ピンギキュラ・モラネンシス(和名:アシナガ ムシトリスミレ) Pinguicula.moranensis
国内で多く流通しているムシトリスミレ(ピンギキュラ)で、
和名はアシナガムシトリスミレと呼ばれ、鮮かな赤紫色の花を咲かせます。
メキシコ中部から南西部に生息しています。
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ピンギキュラ・シクロセクタ Pinguicula.cyclosecta
メキシコ原産のムシトリスミレ(ピンギキュラ)で、厚みのある葉と鮮花やな赤紫色の花が特徴です。
シクロセクタはギリシャ語で「円形に分離した」という意味のようです。
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ピンギキュラ・ギガンティア Pingucula.gigantea
メキシコオアハカ州の標高700m付近に自生するムシトリスミレ(ピンギキュラ)です。
葉の長さが20㎝ほどにもなる大きな種として、ギガンテアは「巨大な」という意味です。
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ピンギキュラ・アグナタ Pinguicula.agnata
放射状に根生する、ロゼッタ状の葉が特徴のムシトリスミレ(ピンギキュラ)です。
メキシコ原産で、紫色の綺麗な花を咲かせます。
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ピンギキュラ・レクティフォリア Pinguicula.rectifolia
メキシコオアハカ州原産のムシトリスミレ(ピンギキュラ)で、
赤紫色に独特な独特な模様が入る個性的な花を咲かせるのが特徴です。
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ピンギキュラ・エッセリアナ Pinguicula.esseriana(和名:ヒメアシナガムシトリスミレ)
こちらもメキシコ原産のムシトリスミレ(ピンギキュラ)で、ドイツの植物学者Esserへの献名として名づけられました。
和名はヒメアシナガムシトリスミレと呼ばれ、小さな葉が可愛い種です。
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ピンギキュラ・モクテズマエ Pinguicula.moctezumae
メキシコの渓谷に生息するムシトリスミレ(ピンギキュラ)です。
一時はダムの建設により生息地が水没し、絶滅の可能性がありましたが、
その後発見されています。
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ピンギキュラ・グラシリス Pinguicula.gracilis
小型で多肉植物のような見た目の種です。
花を咲かせる時にも花茎はほとんど伸ばさず、
とても可愛いです。
ピンギキュラ・コリメンシス Pinguicula.colimensis
鮮やかな紫色の大きな花を咲かせます。
この種もメキシコ原産です。
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交配種のムシトリスミレ(ハイブリット・ピンギキュラ)
見た目の良さと独特な雰囲気から近年は交配種も数多くつくられています。
その中でも特に人気の種を紹介していきます。
こちらも交配によりますが、初心者にオススメです。
ピンギキュラ'アフロディーテ' Pinguicula 'Aprodite'
ピンギキュラ・アグナタとモンテズマエによって交配されチェコで生み出されたのが'アフロディーテ'です。
どちらの種もメキシコ原産なため、メキシカン・ピンキギュラとして栽培ができます。
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ピンギキュラ’ウェザー’ Pinguicula'weser'
エーレルサエとモラネンシスの交配種です。
交配親のエーレルサエがピンク色の葉を付けるところをこのウェザーも引き継いでいます。
鑑賞度の高い交配種として人気があります。
ピンギキュラ’セトス’ Pinguicula'Sethos'
こちらもエーレルサエとモラネンシスの交配種ですが、
花の色味と模様の違いによって、呼び名が変わるという珍しい交配種です。
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ピンギキュラ’ティナ’ Pinguicula'Tina'
アグナタとゼケリの交配種で、大きく柔らかい葉を付けます。
日本でもよく販売されています。
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ピンギキュラ'磯子' Pinguicula 'Isogo'
磯子と書いて、「イソコ」と読まれる人工交配種です。
交配親は不明ですが、近年ネットで販売されるのを見かけるようになりました。
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ピンギキュラ'皇帝' Pinguicula 'Koutei'
こちらも交配親は不明ですが、
ボリュームのある葉に小さな花を咲かせる珍しい見た目の人工交配種です。
箱根の食虫植物イベントで見つけましたが、
ネットなどでは今のところ販売されていなようです。
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ムシトリスミレ(ピンギキュラ)をもっと知りたい?おすすめスポット
育てる前に実物を見てみたい、興味はあるけど育てるまではいかない、という方はムシトリスミレ(ピンギキュラ)を直接見に行くのも良いです。
僕は10年程前から食虫植物を育ててみたいという気持ちがあったのですが、なかなか、いざ購入し育てる、というところまでには時間がかかりました。
ここでは食虫植物が数多く見られる植物園を紹介します。
東京、夢の島
新木場の夢の島にある「夢の島熱帯植物館」です。
植物館のある場所が公園で、運動場などがあります。近くに飲食店はないので、持参するか駅まで食事を済ませてから向かうのをオススメします。
東京、新宿御苑
世界一、人口密度の高い(?)新宿にある「新宿御苑の大温室」です。
新宿御苑自体が大きな公園になっているので、大温室以外にも原っぱでピクニックしたり、近場の飲食店に寄ったりもでき、一日中楽しめるのも良いです。
大阪、 咲くやこの花館
関西きっての食虫植物を取り扱う「咲くやこの花館」では常設展でも十分に多種多様な食虫植物を見ることができます。
ここの特徴は亜熱帯と高山帯、どちらの食虫植物も見れることではないでしょうか。
食虫植物の聖地?兵庫フラワーセンター
日本国内で食虫植物好きに最も有名な植物園といえばここでしょう。
「食虫植物の聖地」と言われるくらい数多くの食虫植物が栽培されており、「食虫の神」と呼ばれる栽培のスペシャリストが在籍しています。
まだ僕は行ったことがないのですが、兵庫に足を運んだら必ず行きたい植物園です。
ムシトリスミレ(ピンギキュラ)を育ててみよう
ひとえにムシトリスミレ(ピンギキュラ)といっても、さまざまな見た目があります。
最初は1鉢だけだったけど気づいたら、、という栽培家の方も珍しくありません。
もしこの中でも気になった種がいたら、実店舗やネットで探してみるのはいかがでしょうか。
一度その魅力に気付くと、きっとハマりますよ。
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